04«1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»06

適当広場

のんびり適当にがモットーです。多分

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

category: スポンサー広告

cm --   tb --   page top

あの想いと共に 華琳編 第18話 

あの想いと共に 華琳編 


第18話



「はぁっ!」

敵を切り倒しながら、突き進む。

「ふっ――」

合間に現れた敵は、秋蘭が確実に仕留めて。



私達は、馬騰が居るという階までやってきていた。



だが、そこで私は足を止めた。

「……どう思う? 秋蘭」

どうにも気になる状況だからだ。

「納得がいかない、というのは私も同じです、華琳さま。敵の抵抗があまりにも薄すぎる」

そうなのだ。

この屋敷に入ったら、敵の猛攻に晒されて……その地獄を進まなければならないと思っていた。


しかし、今の現状はどうだ? 敵などまばらに居るだけで、現れた相手も混乱の極致というところ。


「他の入り口から、既に攻めているのかしら?」

「いえ。最初にこの屋敷に攻め込んだのは我々です」

なら、私達のところに敵が殺到する未来が、至極当然なのだが。

「ですが、この屋敷……正面はともかく、他にも出入り口があります。そちらは、別の兵士で抑えていると思いますが……」

「……良いわ、行きましょう」

考え込んでいても仕方が無い。相手を逃がす状況でないのならば、進み続ければ答えが出るはず。

「どのような罠であっても、全てを射抜いて見せます」

「頼りにしているわよ」

秋蘭が私の背中を守ってくれているのだ。どのような状況だろうと、私と秋蘭ならば対応が利く。



そう思い、進んで、一つの曲がり角を曲がった時だ。



私の視界に、本来ならばあり得ないものが飛び込んできた。後ろに居る秋蘭からも、息を呑む感じが伝わってきたほどだ。


「あなた……っ!?」


「来たか。意外に遅かったな」



あまりにも、不自然に。


しかし、目の前に居る蜀の将――関羽と諸葛亮は、当たり前だが現実で。



「ど、どうしてお前達がここに居る、関羽! 諸葛亮!!」

動きを止めた私の言葉を繋いだのは、秋蘭だ。

関羽は面倒そうに武器を握って立っているだけ。

諸葛亮は、腕を組んで何か思案しているようだ。気に食わないが、私のことなど眼中に無い、とでも言いたげで。

「我が主のためだ」

「そうですね。そうとしか言えないです」

「我が主……? お主ら、劉備から馬騰に鞍替えしたのか?」

それはあり得ないだろう。現に、二人とも秋蘭の言葉は素知らぬ顔で流している。

劉備が手放すとは思えないが、それ以上に、劉備を心酔しているであろうこの二人が蜀を離れるとも思えない。

「では、誰がその中に居るというの? 私が得た情報では、その扉の先は馬騰の私室のはずよ」

「らしいな」

「らしい……? 知らずにここに居るのか?」

私の疑問を、秋蘭が口にして。

「んー……どうなんでしょう? 聞こえてないとは思わないんですけど」

諸葛亮が、扉を見ながら言う。

「……じゃあ、逆かしら? 敵がいなかったのは、あなた達が理由?」

「あ、それはそうです」

「障害ならば、排除するまでだ」

堂々と言い放たれて。態度も変えない。


それどころか、目の前にいる私のことなんて、本当に興味がないように振舞う始末。



……なんだろう、少しずつイライラしてきたわ。



馬騰の手先ではない。しかし、劉備の使いとも思えない。

なのに、自身が障害として私の目の前に立っている、この感じ…………。

「さっきから要領を得ないことばかり……! そこをどかないというのなら、武力で排除することになるわよ!」

私のイラつきを感じ取ったのか、関羽が余裕という感情を表情に乗せた。

「随分と気性が荒いな。余裕がないのか?」

「その立ち振る舞い……余程私と武器を交えたいようね?」

今の関羽の仕草には、秋蘭も癇に障ったのだろう。露骨な敵意を発して、それを関羽達に当てる。

「華琳さま、援護致します」

「ありがとう、秋蘭。関羽相手に一対一とも言ってられないわ。あなたをここで倒して……そうね。連れて帰って、私好みにしてあげましょう」

武器を構えて、臨戦態勢に入る。

関羽もやる気なさそうに、武器の切っ先を下げて体勢を整えた。諸葛亮は、ただ腕を組んだまま、我関せずという態度だ。

ここで関羽と戦うのは想定外にも程があるが、これはこれで幸運だろう。諸葛亮の戦闘力は大したことないだろうし、押しきれるはず。

加えて……知りたいことを、こいつらは知っているはずだ。

「それに……連れ去った一刀のことも教えてもらうわ」

「ほぉ……」

「へぇ……」

私にとっては当然の言葉だったのだが、二人には意外だったのか、感心したような吐息を漏らされた。

「気になるのか? あの人のことが」

「大事な知り合いだもの。気にならないはずがないでしょう?」

「……お好きなんですね? 一刀さまのこと」

……どいつもこいつも。

敵将にも分かるぐらい、私が顔や声音に出しているということ? 冗談じゃないと思いたいけど。

「少なくとも、あなた達よりは彼のことを想っているのは確かよ」

それだけは、事実として言える。

誰がなんと言おうと。

誰がなんとけなそうと。



私は私の中で一刀を認めて、欲している。それは間違いなく正しくて、正常な在り方だ。



「――――だそうですが?」



しかし、何かの気配を読み取ってか、関羽が扉を見ながら言うと。




扉が、音を立てて開かれて――――、



「えっ……………………」



「なっ――――」





部屋から当然のように出てきたのは……………………一刀?



「久しぶり。元気だったみたいだね、華琳、秋蘭」



思考が完全に停止した。ぶっ飛んだと言ってもいい。

「……そんな笑顔も出来るんですね」

「はぁ……」

傍に居る蜀の二人が露骨に嘆息するが、そんなのも目に入らない。

「か、…………かず、と、なの?」

搾り出した声は、掠れたようなもので。

どうしてここに居る?

いや、どこから出てきた?

何故蜀の二人と親しそうにしている?

武器を持っている? 血塗れ? 何? どういうこと? 一緒に出てきたのは華佗?


「そうだよ? 俺以外に見えるかな?」


言われて、思考がわずかばかり引き戻されて。

「そ、そうじゃなくて……あ、あなた、なんでこんなところに居るのよ!?」

ようやく出た大きな声は、当たり前の疑問だ。

「いやぁ、幾つか理由はあるんだけどさ」

一刀は頭を掻きながら、馬騰の私室を見た。



「っ――――」



その時だ。


ずっと感じていた、違和感。


いや、恐怖といっても良いだろう。



それが……ちりちりと音を立てて、燃え上がるように、私の心に浸透していく。



「華琳、涼州に攻め入るって聞いたから。だから、俺も手伝いがしたいなって思っただけさ」



まるで、死刑宣告のような笑顔と宣言。



「手伝い…………っ!? あなた、まさかっ!!」


私は今までにないぐらい、驚いた顔をしていただろう。

でも一刀は、そんな私に気付くこともなく、笑顔のまま、




「馬騰は、俺が討ち取ったよ。間に合ってよかった」




なんてことのないように。



頑張りましたって、子供が言うように。




一刀は――――それを、宣言してしまった。



「なっ……な、なっ…………」


声が出てこない。


なんだろう? 何を言っているんだ? 馬騰を? え? なに?


しかし、一刀は何も言わない。



ただ、私の位置からは見えない部屋の中を一瞥しただけで。



ただ、それだけで――――馬騰はもう、この世には――――




「あなたね! 自分が何をしたのか分かっているのッ!?」

気付いたら、私は激昂し、一刀にそう叫んでいた。

当の一刀は、そんな私に少し気圧されたようで。

「何って……なんで怒るんだい? ここに攻めるって聞いて手伝いに来たんだ。それで、馬騰は敵軍の総大将だろ?」

「それはっ……そうだけどっ!!」

激情が身体を支配し、駆けて、一刀を押し退けて部屋の中を見る。



「ッ――――!!」



自分でも、どんな声を上げたのか分からない。

しかし――私が会いたかった勇将は。


まるで、標本のように……壁に突き刺されたまま、絶命していて――――



「うわぁ……盛大にやりましたねー」

「馬騰は手強かったですか? 北郷殿」

「華佗に怪我は治してもらったよ」

敵将を倒して、まるで浮かれたような声が、私の背中に届いて。

すぐに振り返ると、一刀は楽しそうに笑っていた。そりゃそうだろう、そりゃそうだろうとも!

「一刀! こんな、暗殺めいたやり方をして!」

何が正しいのかは、頭の中で理解はしていた。

してはいるのだが、感情が暴走していて、止められない。

何故? どうして?



よりにもよって、あの予感を、一刀が――――、



「あ、暗殺? 確かに華佗、関羽、朱里の力は借りたけど、馬騰は俺一人で討ち取ったよ。それに、ちゃんと華琳が城門を破ったのを見てから突入したし……多分正門と裏門から来るだろうって朱里が言うからさ、じゃあ西門から挟撃すれば、相手を逃がすことはない……そう思ったんだけど?」

「やり方が勝手なのよ! ここまで来ていたのなら、私と連絡を取ることも出来たはず! 彼女達が居たのだって知っているでしょう!?」

そうだ。この場に居たというのなら、張三姉妹が居たことだって分かっていたはずなのだ。

「一応ね。でも俺らもここに着いたのは昨日でさ。こんな時期に来たってのもあって目を付けられていたし、自由に動けなかったんだ。こうした事後の連絡になったのは謝るよ」

「一刀……っ」

冷静だ。

とにかく冷静で、理路整然としていて。


当然と正しさを持つ一刀に、私は口を閉じてしまって。



「…………一刀、私はね……」


心も閉じそうになる。


だから、そうなる前に、必死に言葉を。


「うん?」

「私は……馬騰に会ってみたかったの。その名を轟かせる武勇、あれだけの猛者を惹き付ける馬術……聞きたいことが」



感情を紡ぐように、下がっていた顔を上げて。



「聞きたいことが――――たくさん、あったわ」



そこで、ようやく私が何を思っていたのか分かったんだろう。


一刀は少しだけ、目を見開いて。


「……そうか。すまない」


目を逸らして――ただ、それだけを言った。



そう、これは不幸な事故だ。




私の想いと、一刀の想い。それがたまたま、交差してなかったというだけ。



「…………っ。秋蘭、すぐに兵を。私が言う者以外は、この部屋に近付かせてはダメよ。良いわね」


「は」


静観していた秋蘭に、私はそれだけを言う。


そのまま馬騰の部屋に入り、血の臭いが滴る馬騰の目の前に立って。



「…………こんな、出会い方なんてね」



余りにも、これは絶望だ。


どんな戦いがあったのだろうか。部屋も荒れた様子は無い。


とすれば、一合だったのだろう。一撃の勝負で、一刀は見事に馬騰を制した……そうとしか思えない。



「馬騰……」


視線の高さは同じだというのに。


彼女の目は、二度と開かれることはない。


色んなことを話したかった。聞いてみたかった。



例えそれが、武器を握り合ったままだとしても。



「…………」


一刀の笑顔と、馬騰の死に顔と。



二つが、私の中で相反する。


敵の総大将を討ったのだから、それは褒め称えられるべき功績だろう。



魏としては、それが正しくて。



「でも…………」



秋蘭の心配が、現実になった訳だ。



悩まずもっと早ければ。



それこそ、一日行軍を早めれば、こんなことにはならなかったのかもしれない。



私は、馬騰に突き刺さっていた剣を引き抜いた。


ずるり……と、床に崩れ落ちる身体。


「…………そう、よね」



終わったんだ。


これで、涼州の戦いは我らの勝利。



割り切れ。いつだって、そうしてきた。


こんな情け無い姿と心を、魏の民に見せる? 冗談じゃない。それこそ、今度こそ私は王として笑いものになってしまう。



心を封じろ。


少なくとも今は、そうする必要がある。


我々は勝利して、一刀も戻ってくる。これ以上の結果が必要だろうか?


この栄光ともいえる結果に、総大将である私がケチをつけてはならない。


だから……、



「……華琳さま。兵の準備が整いました」


「えぇ、もう大丈夫よ、秋蘭。それと、馬騰は私の手で手厚く葬るわ。付き合って頂戴」


大丈夫、といわれてこちらを覗き込んだ秋蘭に。



私はちゃんと、笑顔を向けられたはずだ。



「華琳さま……」


眉を潜める秋蘭に気付かない顔をして、


「……後で、一刀に話を聞くわ。それでいいでしょ?」

「…………はい。華琳さまのお心のままに」

「ありがとう」


笑え。


私は王なのだ。勝利したのならば、笑わないと。



いつまでも、悔いを残していてはならない。今は、少なくとも今は。



笑って、勝利を宣言するのが――――王の務めだ。





続く


スポンサーサイト

category: あの想(番外編)

cm 0   tb 0   page top

コメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://lisereaend1234560.blog.fc2.com/tb.php/319-ba3e2ac4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

page top

プロフィール

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。