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適当広場

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あの想いと共に 華琳編 第17話 

あの想いと共に 


華琳編 第17話



劉備との戦いから、数週間。

随分と時間が経ったように思える。早く、短く……しかし、弱点を見つけた私の国は、それこそ今までの速度なんて比じゃないぐらい、屈強な国に変化していた。

「はぁ……」

「どうかなさいましたか?」

自室。

秋蘭と春蘭を招いて談笑をしていたのだが、不意に自分でもよく分からない吐息が口から漏れた。

「お疲れですか? 華琳さま。明日からは涼州に向かいますし、今日はこの辺で――」

「あぁ、そうじゃないの。大丈夫よ、春蘭。でも、どうしたのかしらね……」


あまり、良い予感がしないのは。


「……華琳さま。何か気になることでも? 涼州に進むという話、華琳さまはあまり乗り気ではなかったように思えます」

「あら? そう見えていた?」

蜀が国力を蓄え、呉は各地平定の動きを。ならば、魏も国を強くするために、領土を広げる……間違った話じゃないし、賛同出来るのは確かだ。

「正しい道よ。華北の平定と供給は安定したし、これ以上国を強くするのなら、馬が多い涼州を取る。情報戦も強くなるし、政に回したために足りなくなった馬不足も解決する……桂花と稟の話は、魏のためを考えて言われたことだわ」

「そうですよね! 見ろ、秋蘭。華琳さまは何もご不安になどなられておらんぞ!」

不安か……ふむ。

目敏い……というより、私が心配なのだろう、秋蘭は。

「どうしてそんなに私が心配なの? 秋蘭」

「……どうしてでしょう? そう言われると、私にも分かりかねますが……」

一度言葉を切った後、

「涼州に負ける魏ではありませぬ。慢心などありもしませぬが、敗北要素も見当たらない……ただ、より良い結果になるのか? と言うのであれば……」

秋蘭が私を見ながら言う。



……そう、そういうことか。



「うん? 勝てれば良いではないか。馬不足は最近顕著だし、私は涼州攻めは大賛成だぞ!」

「そうではないわ、春蘭。秋蘭は、魏の勝利じゃなく……私の心の内を心配しているのよ」

「華琳さまのお心ですか? あ、もしや馬騰に会いたいと言っていたことでしょうか?」

馬騰は病に臥せっている。

そう、既に情報は掴んでいる。事実かどうかは分からないが、仮に真実だとしたら、私は馬騰の槍捌きを戦場で見ることは叶わないだろう。

「私は馬騰の話を聞ければ、それで満足するわ」

「…………」

「…………うーむ」

呟くように吐露した言葉だが、二人は表情を翳らせた。

「華琳さまは、馬騰と会うことが出来ない……そうお思いなのですね」

「そこまで具体的な感情じゃないわ。ただ……良い予感がずっとしていないのは、本当よ。そのせいで、変な溜息が漏れてしまったわね」

私が足を組みなおして言うと、春蘭が立ち上がって、

「馬騰が何を画策していようとも、それをさせずに一気に倒してしまえば済むでしょう! 大丈夫です、華琳さま! 先陣は私にお任せください!」

笑顔で高らかと宣言する。

「…………ふふっ」

「姉者……」

そうではないけど、そうではあるというか。

自然に、私と秋蘭の口元に笑みが浮かんだ。

「う、うん? な、何か間違っていましたか?」

「いいえ、何も間違っていないわ。そうね、結局そうなのよ」

相手が何をしてこようが、どのような策を立てようが。

確かに、やることなんて一つなのだ。やる前から、やり終わった後のことを考えていたって仕方がないだろう。

「ありがとう、春蘭。私らしくないことばかり考えていたけど、あなたのおかげで払拭できたわ」

「そ、そうですか? なら、嬉しいです!」

笑顔でいう春蘭が誇らしい。


そうだ、悩んでいたってしょうがない。


国を強くして、誰よりも強くなって。



笑われないようになったら……あいつを取り返しに行かなくちゃいけないんだから。






     ◆  ◆  ◆





「夜襲の多さね……」

現在、ここは涼州内のとある一角。

戦時中で、攻めあがっている最中なのだが、如何せん馬の機動力を生かした、時間を考えない一撃離脱が多くて多くて。

「だから、張三姉妹を使うというのね?」

私の天幕の中には、私自身と桂花、稟の三人が居る。

稟にそう言うと、

「はい。涼州には娯楽らしい娯楽がありません。そこに、魏の部隊を交えた張三姉妹を潜り込ませれば……」

「相手の目の引き付けにはなるわね。でも、そんなに上手くいくかしら?」

稟はやるべきだというが、桂花はあまり乗り気ではない。

「問題がありますか? この状況、我が軍にとってよくありません。兵を割かずにやれる策では、上々かと思われますが」

「問題はないわ。問題はないのだけどね」

煮え切らない、桂花の言葉。これは……、

「稟の作戦に文句がある訳ではない、ということね」

「華琳さま?」

不思議そうな稟を差し置いて言うと、桂花が目を逸らす。

「あの三人を使うという行為に問題を感じているのでしょう?」

「……悪くは無い策です。でも……」

「一刀の関係者は使いたくない?」

呆れている訳じゃないが、さすがにそこまで潔癖症になるのもどうだろう?

言うと、桂花はやはりバツの悪い顔をした。

「……桂花殿。仰りたいことも分かりますが、今あの男はこの場に居ません」

「分かってるわよ……っ」

「なら、これが今我々が出せる最上の策だと分かっておいでのはずです。私情は……挟みたくもなる男ですが、今はより確実な勝利を」

桂花が一度目を瞑って……呼吸を落ち着かせて。

「……そうね。悪かったわ。でも、私がやると、今いったように私情が入りそう。華琳さま、この件は稟に……」

「発案者も稟だしね。稟、自分から言い出したのだから、確実にやり遂げなさい。失敗は許されないわよ」

「は!」

言って、稟はすぐに出て行く。

桂花も立ち上がろうとするが、

「桂花。よく無い傾向よ」

「うっ……はい」

上げかけた腰を、すとんと落とす。

「あなたが一刀のことをよく思ってないのは知っているし、何か独自に掴んでいるのは知っているわ。でも、その情報を軍務に巻き込むのはやめなさい」

「はい……」

しゅん、とした後、桂花はすぐに顔を上げて、

「華琳さまは、あいつがまだ生きているとお思いですか?」

真っ直ぐ、そう聞いてくる。

「……どうでしょうね」

生きてはいると思っている。殺すなら、あの場で殺しただろうし。

ただ……まともに生きているのかどうか、というと。

「北郷が使っていたあの力は、劣化加速の法というものです」

「劣化加速……?」

聞いたことのない言葉。

それに“法”というのなら……。

私の顔色を読んでか、桂花が頷きながら、

「華琳さまの思った通りです。あれは仙術の類。一介の人間には、まず扱えないような力です」

「……仙術、か」

妖術だと思っていたが、その上をいくようなモノが出てくるとは。

「あまり、驚かれないのですね」

「十分驚いているわ。ただ、一刀の問題では驚いてばかりだから、もう驚き慣れしているのかも」

それぐらい、あいつとの生活は波乱万丈の一言に尽きる。

「あいつの知識もそうですけど……力も、尋常じゃありません。華佗の能力も、どうにも怪しいですし……」

「五斗米道とかいうあれ?」

「はい。普通、鍼を刺しただけで傷が治るなんて……あり得ますか?」

「あり得ないとは思うけどね」

ただ、目の前に実際起こっている現象な訳で。

「まぁ、華佗は今は省くにしても……北郷の力は本当に危険です。一国を作れる知識と、一時的とはいえ呂布を凌ぐ力。劣化加速は使った後に多大な負荷が自身に掛かり、大体の場合は死に至りますが……」

「死に至る……! 本当なの、それ」

思わず声を上げる。当たり前だが、初耳だ。

「ほ、本当です。でも、本来ならその跳ね返りを華佗の力で相殺するつもりだったんでしょう。だけど……」

「……そうね」

あの場に、華佗は居なかった。

居ない状態で、私が力を使わせてしまった……ということね。

「予定になかったんでしょうね。あれだけ人が居る場所で……私が居る場所で、その力を使うというのは」

「……なかったと思います。でも、あいつは……だから、気に食わない」

私を助けるためなら、自分の中にある規則を破る。予定外も構わない。

そんななりふり構わない一刀が、桂花はどうにも認められないようだ。

「……桂花。あなたが一刀をどう思っているのか、もう私には分からないわ。ただ気に食わない、というだけには見えて無いから」

「…………ん」

口ごもる桂花。私はそのまま続けて、

「だから、思うようになさい。どのような結果、結末になろうとも、私は全てを受け止めるわ。それぐらいの器量はあるつもりよ」

「か、華琳さま以上の器の持ち主は、この世に存在しません!」

「ありがとう。なら、あなたも悔いの無いように一刀と接しなさい」

堂々と振舞っているつもりだ。

だが……私の態度は、桂花にとっては然程良くないものに思えているのかもしれない。

「……華琳さまは、私と北郷がぶつかり合うことに、疑問はないのですか?」

こんなことを、辛そうな顔で聞いてくるのだから。

「疑問? どうして?」

「…………良くない結果になると思います」

「良くない結果にしか出来ないの?」

「あいつは、都合の悪い存在は封じるか、殺すかです。私の想定が間違っていないなら、多分ずっと見えないところでそうしてきた。風が良い例ですよ」

「桂花もそうなりそう?」

私は笑顔で、なるべく負担を感じないように聞いてみた。

「…………せめて、あいつの終着点が分かれば」

「えっ?」

小声で、搾り出されるような言葉で。

「潰し方が、簡単に決められるのにって。そう思うんです」

「……まったく」

本当に、一刀に対しては敵意丸出しだ。主の私に隠そうともしなくなった。

「華琳さまにとっては、私と北郷が手を取り合う方が良いんでしょうけど……」

「そりゃあ、殺し合いをしているよりは、仲違いしている方が良いと思うわ」

「な、なんですか、それ。もう、華琳さまったら……」

「あなた達が、純粋に手を取り合う状況なんて、この私でも想像出来ないわよ。もしそんなことになったら……」


それこそ、一刀の楔が上手くいったとしか思えない。


もしくは……この二人が協力し合うことによって、得られる最大の終着点が見つかったか。



「そんなことになったら……なんですか?」

「あなた達二人が手を取り合ったら、それはもう何が相手になっても勝てると思っただけよ」

最強の力と最上の知。これ以上ない武と謀。

「それこそ、今まで見たことの無い最高の凶演が世界に舞い降りて、敵を食い潰すでしょうね。想像出来る?」

言うと、桂花は笑顔ですかさずこう言った。



「出来ません」





     ◆  ◆  ◆





画して、稟の策は成功し。



私は、涼州の本拠までやってきた。



「……随分な荒れようね」

「馬がなければ、こんなものなのでしょう」

随伴するのは秋蘭だ。

しかし、それにしたって敵の動きが杜撰すぎる。連携が取れないというか……指揮官がいないのかしら?

「秋蘭」

「はい。敵の動きが乱れすぎています。罠の可能性も否定出来ません」

「油断はないわ。ただ、目は光らせておいて。私の背中、任せるわよ」

「これ以上ないお言葉です、華琳さま!」

秋蘭の瞳の闘志が大きく宿る。



見えてきたのは、馬騰の屋敷だ。



後は、あそこに……馬騰が居る。



会える……そう、待ちに待った馬騰に会えるのだ。





続く


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category: あの想(番外編)

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