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適当広場

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あの想いと共に 第66話 後編 

あの想いと共に


第66話 後編


「桃香さまは、愛紗が戻ってきたことで迷いを見せました。それは本当です。愛紗から一刀殿も無事に生きて戻ったという報告もありましたし」

「だが、実際は違う……」

「それに関しては……朱里が強引に話を進めた、というのがありました」

「朱里が?」

……身体の事情か?

「不調を押して今回の進軍に同行して……曹操が生きていれば、同じことが起こり続ける。そう言って、桃香さまを諭したのです」

「最終的に、朱里が戦を起こしたのか」

「要因は一刀殿ですがね。一刀殿が向こうに居れば、今度こそ死ぬかもしれない、などとも言っていました」

大丈夫なのか、そんなこといって。

そういう俺の感情が、顔に出ていたのか。

「一刀殿は、良くも悪くも我々の癌……ならばいっそのこと、ということなのでしょう」

「意味が通じないけど」

「我々は分かっていますので」

魏呉蜀、全部の感覚が俺には分からないよ。

「話せることはこれくらいです。さて、では行きましょうか。朱里が一刀殿を外に出して良いと言った以上、桃香さまも分かっておいででしょうから。問題はありませんよ」

…………うん?

「朱里が言ってたんだ?」

「そうです。また随分と和解が早いことで」

「手を出した、みたいな言い方はよしてくれ」

でも、そうか。

朱里が自分から、蜀を離れる……とは言わないはずだ。

言えば確実に問題が起きるし、時間も掛かる。桃香はもしかしたら許してくれるかもしれないが、他の家臣が蜀の内情に精通している朱里を俺と共に国外に行かせるなんて許さないだろう。

だから、桃香もこれは知らないはず。

…………逃げるなら、さっさとした方が良いだろうな。

「まぁ、出してくれるっていうのなら」

なんでこうも疑いなく、敵軍の将を連れ出すのか不思議でならないが、余計なことは口にしない方がいいだろう。

言いながら立ち上がる俺に釣られて、星が俺の隣に並ぶ。

そのまま牢屋を出て、外に出て。詰め所に兵はいなく、廊下も無人。徹底している。

「誰もいませんね」

「そういう時間なのか?」

「いえ……ですが、今は色々と立て込んでいる時期なので。予定外が頻繁にあるのですよ」

「そうなんだ? まぁ、俺の傍には星がいれば問題ないだろ」

「おやおや。そうやって女を煽てて」

「そういうつもりはないんだけどな……」

ニタニタ笑うんじゃない、全く。

「しかし、国か……」

城を出る。

門番はさすがに居て、俺を見て驚いたが、星が一緒だったためかすぐに落ち着いた様子に戻った。

「急に心変わりでも?」

「しないよ。だけど……時代と、タイミングと、考え方が違えば……俺は君にそそのかされて、国を作っていたかもしれない」

「天の言葉は分からないですが、なんとなく言いたいことは分かります」

あぁ、タイミングって分からないよな。

俺らは大通りに出た。今は丁度正午付近らしく、人がとても多い。

上手く状況を利用して、星とはぐれることが出来ればいいが……そう簡単ではないだろうな。

「俺は……桃香以上の国を作れるのかな?」

「知っているあなたなら、間違いなく」

「…………ほんと、その自信がどこから来るのか教えて欲しいよ」

確かに、俺は三国が統一された姿を見た。

その平和を……戦いがなくなった世界を知っているという意味では、星の言うとおりだ。

「魏に居れば、平和が訪れるのですか?」

「じゃないの?」

「……やれやれ。どこまでも煙に巻くのが好きな御方だ」

「星の物言いは直接的過ぎるんだよ。俺以外にはそんなんじゃないんだろ?」

「歯に衣を着せたら、それに合わせて逃げられるではありませんか」

「ははは、なんのことやら」

ほんと、バレバレだな、俺。

問題は……最たる場所を、桃香が理屈なく感じ取っていることだが……。




ピーーーーーーーーーッ!!




甲高い、笛の音。

「これは?」

「警笛……か」

星が呟く。

「まだあんまり、良くないんだ?」

「先程言った通り、予定外が多くありまして」

予定外か……。

ただ、この警笛とやらは、本当に自然に発生した音なのだろうか。

もしかしたら……と思う俺が音をした方向を見たと同時に、

「これは、趙雲将軍!!」

「何事だ」

人ごみを掻き分けて、一人の兵士が駆け寄ってきた。

すると、俺を見てぎょっとするが、

「心配はない。桃香さまの命を受けているだけだ。それで?」

星が一歩前に出て、俺の前に手を出して制すると。

「それが……」

近付き、耳元で。

「暴動です。どうやら、敵兵士の一部がまだ残っていたようで……」

「……関羽はどうした? 今は、あいつが警邏をやっている時間だろう」

「それが、見当たらないのです。指揮を執る将軍が居らず、統率が無いまま戦って居る現状で……」

「愛紗が……? 何をやっている……まさか」

星が俺を見るが、小声で話しているのだ。聞こえないフリをする。

……でも、よく聞こえるな、俺。耳が良くなったんだろうか。

「将軍!」

「…………ちっ」

舌打ちが聞こえる。俺はあくまでも知らないという体を装って。

「何か問題があって、星の力が必要なんだろ? 行ってきなよ」

「……ですが」

「門番はいるだろ? 俺ならここら辺をぶらついているさ。でも、すぐ戻ってきてくれよ。知らない奴に何を言われるか分かったもんじゃない」

「…………本当ですね?」

「早くしろ。民が困っているんじゃないのか?」

俺の叱咤する言葉に、星が唇を一度噛む。

「……っ! 案内しろ!」

「は!」

一度だけ振り返って、星が兵士と一緒に走り去っていく。

「…………」

一人になった。

周りの目があるが、自由だ。

「…………はは」




都合が、良すぎる。




どう考えても、誰かの手引きだ。そう考えるのが自然だ。

衛兵がまるでいなく、そういった状況からの連れ出し。

最低限省けない門番を欺くため、星ならば他の連中よりは疑惑が立ち難いと判断。

桃香が出た直後に朱里から聞いたという星の言葉。

状況だけを考えたら、朱里が俺を脱出させるために手段を講じている……としか思えない。

なら……乗っかるのが良いだろう。関羽が問題として残ってはいるが。

「…………」

それに、華佗だ。

俺は歩き出しながら、華佗の姿を探す。

行方を眩ませているのは確かだろうが、それでも町のどこかにはいるはずだ。

朱里と話して、桃香と話して。

この二つの会話の間に、時間はそれなりにあった。だとしたら、朱里は華佗への対応も行なっているはず。

どこが、分かりやすい場所だろうか。

俺と華佗が知っていて、人が少ない場所…………。



…………まさか、な。





     ◆  ◆  ◆











来なければ良かった。











そう、思った。













「…………何が、あった?」

そこには予想外すぎる人物が居た。

「……関羽」

俺は、寝台に項垂れるように腰掛ける関羽に、話しかける。



ここは、俺が寝ていた部屋だ。三度、ここに戻ってきたのだ。



ここぐらいしか思いつかなかった。二度はあっても、三度はないだろう……そういう期待も込めて。



だが……。



「何が、あった?」



部屋の惨状を見る。

壁には巨大な獣が鉤爪で付けたかのような無数の痕。

地面には大量の血溜まりと、同様の爪痕。

腰掛ける関羽は、髪を結わっていた紐が解け、全身血を流しながらの傷だらけ。



「…………」



俺は固唾を飲み込んで、関羽に近付き、そっと片膝をついて。

「関羽……」

なるべく刺激しないように、頬に手を当てて顔を上げさせ、こちらを向かせた。

髪が半分顔に覆いかぶさり、片目しか見えないが。

「…………北郷殿」

目の色は……強い。怪我はしているが、重傷ってほどでもないのか。

「どうしたんだ? この場所で、何があったんだ?」

部屋を見回しながら言う。

ここは……ある意味で危険すぎる場所だ。前例が、あるから。

「北郷殿…………あなたは……」

「ん?」

じっ…………と、俺を見て。

血だらけの手で、俺の手を掴むと、



「私も……あなたと共に、行きます」



「関羽……?」



それは、思ってもみない言葉で。

「これが……こんなことが現実に起こるというのなら……北郷殿が、関係しているのなら……その足を止めなければ、ダメだ」

「さっきから何を言っているんだ。俺に分かるように説明してくれ」



ギリギリ



ギリギリギリギリ――――と、俺の手を掴む力が強くなる。



「先が少し、見えた気がします」

表情もなく、ただ俺にそう言って。

「私を、連れて行ってください。北郷殿」

「それは…………だが、俺は魏に戻る。蜀とも戦うことになるんだぞ」

「構いません」

即断、即決の言葉。

「桃香さまを守るためには、まず北郷殿を守り抜く必要がある……」

「…………どうして、そう感じた?」

「…………華佗を探しましょう。すぐに、ここを離れた方がいい……」

立ち上がるが、すぐにバランスを崩して俺に寄りかかる。

「無茶するな!」

「っ……でも……」

「全く……!」

あまり良い感じがしないのは当然だ。

何か、身を包んで隠せるものと……後は、華佗の居場所だ。

すぐに移動しなければ。この惨状の中に居るのを見られるわけにはいかない。



くそっ……何が起こったんだ……?





続く


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