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適当広場

のんびり適当にがモットーです。多分

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あの想いと共に 第65話 

あの想いと共に


第65話


「な……ん…………」

朱里が俺の手を弾いて、思わず飛び退く。

だが、その先は鉄格子だ。

俺は立ち上がって、

「簡単な帰結って言うのかな。どう転んでも、朱里という存在が重荷になるみたいだし……」



殺すのが、最も簡単だ。



俺の言葉の先を読んで、朱里がキッと睨んでくる。

「ほ、本気なんですか、一刀さま!」

「元々そういう約束じゃなかったっけか」

俺の弱点を華琳に、そして桃香にバレないようにするための盟約。

その条件を守るための壁が、朱里の方はもう決壊していると思うんだが。

「わ、わたしは――――」

「このまま君が生き続けたら……どこかで、誰かが気付く。いや、もしかしたらもう気付かれているかもしれない。ただでさえ、俺という存在が君に奇病を与え、更にはそれを治癒した。天の遣いという奇特性を強めてくれたのは嬉しいが……」

朱里は俺の言葉を糧に、俺が未来からの来訪者だと言い当てた。

途方も無い、目を瞑りながら針の穴に糸を通すような……。

「そんな……そ、そんなこと、簡単に……」

そう言う朱里を、俺は指差して、

「未来なんて妄言に、一番最初に気付いたのは朱里…………君だ」

「っ……」

「君という存在が前例としてあるのに、君以外の誰もが気付かないなんて可能性……誰が信じるんだ?」

「…………な、なら、なんでわたしが、重荷になるなんて、考えたんですか? 一刀さまは、わたし達を――」

「分からない? 考えなよ、諸葛孔明だろ」

一歩、俺が朱里の方へと踏み出す。

「っ! …………わたし……わたしが、邪魔になる理由…………意味は…………っ」

口元に手を添えて、慌てて考え始める。

「最初の、わたしが全部を忘れたら……忘れたら、どうなる……? 桃香さまが心配する? 違う、そんなことじゃない、誰か、わたしのこと、わたしのこと――――そう、か」

一瞬、朱里の目が見開かれる。

「同じ道を辿る人が現れるかもしれない。わたしがどうして、そうなったのか…………」

固唾を飲み込んで、俺を見て。

「相変わらず鋭い考察で助かるよ。それが突き進めば、朱里のような人間が量産されるかもしれない。俺としては、それは望むところじゃないし……」

「望まない……? どうして、望まないんですか? わたしが邪魔者になったってことは、もうわたし達を生かしておく必要はなくなったってことじゃないですか!」

その通りだ。

だが、勝手に調べて勝手に奴らに見つかって、勝手に死なれまくると、俺にもダメージが来るんだよ。

それに……蜀が弱くなることは問題ないが、華琳が…………魏が落とす前に、蜀が滅んでしまっても困るんだ。そこまでやりすぎたら、魏が三国を統一する前に俺という存在が危ぶまれるから。

「ふふっ……」

勿論、そこを答える訳にはいかない。

「さて、次はどうかな?」

「わたしが一刀さまに付いて行くことなんて、あり得ません」

だろうさ。

そして、それが唯一の可能性だったんだが…………あり得ないという気持ちは、俺も同じだ。

「それじゃ、最後は?」

「最後…………最後って…………」

朱里が逃げ腰になっていたのをやめて、しっかりと立って俺を見ると、

「こんなところで、わたしを殺したら…………一刀さまも、どうなるか」

「そうだね。さすがの桃香も俺を許すってことは出来ないだろうな」

「どうあっても、一刀さまだって処断されます」

「そうだね」

「そうだねって…………」

朱里がこのままここで生き続ける。それは、リスクの塊だ。最優先で排除しなければならない。

それなら、朱里を殺して、俺が処刑されて。

その後、華佗に蘇生してもらって…………この流れが最も確実だろう。

俺が物理的に死んだらどうなるか分からないが、朱里がこの場にこの状態で留まって勝手に死んだら、対処なく俺が世界から屠られる場合も十分にあり得る。

なら、より可能性の高い賭けを行なうべき。

「自分だって、死んじゃうんですよ! なのに、そんな他人事みたいに!」

「朱里……いい加減分かってくれ。君がこのままここに残っても、俺としては同じことなんだよ」

「同じ…………?」

「俺は常に、現実的な選択肢の中で最も可能性の高いものを選んでいるつもりだ」

「それが……わたしを、殺すって…………」

俺は笑顔で頷く。

右手を少し上げて、更に一歩近付く。武器もないし、喪失感を利用するにしたって……あぁ、でも今この場にはもう充満してるか。

じゃあ、首を絞めるしかないのかな。

「ま、待ってください、一刀さま! 少しだけ時間をください! そうすれば、意味が――」

「意味なんてないよ。時間もないし。今、大声を出そうが、抵抗せずに死のうが……結果的にみんなの目に君の死体が映ることになるのは確定だ」

「でも、それじゃ一刀さまだって死んじゃう……!」

「…………なに?」

少し、自分のこめかみが動いたのが分かった。

「死なずにいる方法があるのかもしれませんけど、どれだけその確率が低いか……っ。それに、一刀さまがこれだけの危険を冒すということは、わたしの記憶と、状況に絶対関係がある。なきゃおかしい、なのに……」

朱里が早口でまくしたて、焦燥という感情を露にしながら、歯噛みする。

「なのに……なんで、思い出せないの……! 思い出してよぉ……ッ!」

悔しそうに、頭に痕が残るくらい強く掴み、もう片方の手は後ろ手で鉄格子を強く握り締める。

「…………」

やっぱり、似たようなものだよ。

優しいとか、命を救うとか…………どっこいどっこいだ、俺らは。

「時間切れだ、朱里」

「えっ――――」

俺は距離を詰めて、一気に朱里の首を右手で掴む。

「ぐっ、うっ! か、かず、と、さま……っ、まっ……て……!」

俺の手首を両手で掴むが、大した障害にはならない。弓を持って引いていたとは思えない、非力さだ。

「俺と国境で別れてから、どんな情報が朱里の頭の中にあるのか知りたかったが……もう、それもいらない」

大前提は、俺が生き残ること。その上でのダメージを、極力減らすこと。

危うくなるということが憶測でも存在するのなら、そしてそれを排除出来るのなら、極力それらを潰してから動くべきだ。

「や、め……おねが、い……わた…………しに、たく……っ」

「誰だって、死にたくはない」

ガンッ! と、一度朱里の身体を鉄格子にぶつけて。

「ごはっ!?」

「そう……誰だって」

俺は、その“死”ってのから逃げようと、必死で足掻いているんだから。

恐怖か、混乱か。

力強く閉じられた朱里の瞳から、ぽろぽろと涙が零れ落ちる。

「ごん、な……なん、にも…………わが、って……ない、のにぃ……ッ」

「…………分かっても、死ぬんだ」

俺の居る場所に、逃げ道なんてないんだよ。

自分でもびっくりするぐらい、冷静で。

そして、知った相手を殺すという決断をしているからか、尋常じゃない力が腕に入り、鉄格子を擦るように少しずつ、朱里の身体が持ち上がって、床に足がつかなくなっていく。

「わか…………て…………?」

「……時間掛かるんだな、これ」

ドラマのようにはいかないか。相手だって必死だしな。

俺は更に、手に力を込める。朱里が足をばたつかせるが、彼女の動きが止まるまで力を弱めるつもりはない。

「うっ! うううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……っ!!」

「…………?」

だが、不意に。

朱里の抵抗が止んだ。

すると、僅かに涙が流れる目を開いて。

「も、し……いっ、しょ……ったら、わ、た――」

「もう喋るな」

朱里の言葉は、ある意味で桃香以上に俺を惑わす。実例だってある。

更なる力を指に込めた俺に――――

「…………っ?」

朱里が、僅かに、笑って、




「わたし、たち――――――生きられ――ます、か――――?」




「な、に……?」

今、なんて言おうとしたんだ………………ん?


どさっ、と。



朱里の身体が、床に落ちる。

「ごほっ! ごほっ! ごほっ、ごほっ! はぁ! はぁ! はぁ! はぁ!」

横になって悶えながら、首を押さえて酸素を貪る朱里だが。



俺は、力を弱めてなんていないぞ…………?



そう、思ったのも






束の間、だった









「――――ッ!?」



ピキ――――ン! と、頭の中に一瞬だけ痛みのようなものが走り。



無理矢理意識を塗り潰そうと、数瞬、暗闇が俺の視界を支配する。




「これ、は……!」

今度は俺が歯を食いしばる番だった。

数歩下がり、膝を付き。

「くっ……!」

天井を見上げて、俺は慣れ親しんだこの感覚に殺意を持つ。

分かってはいた! 朱里を殺そうとすれば、それだけの代償が俺を襲うのは当たり前だって!

だが、華佗に治療してもらったばかりだというのに、これだけの威力…………!

「…………今、このチャンスを逃したら…………!」

苦しみ、未だ呼吸を整えている朱里を睨む。

俺は終わるまで一生、こいつの影に付き纏われることになる。どれだけ協力的であろうが、口約束をしようが。

朱里という危機感が、遠く知らない場所で俺を殺さない可能性なんてないんだ!

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……は、あはは…………かず、と、さま」

「黙れ、朱里。もう話すことなんてない」

何を笑っているのか知らないが。

俺はもう一度立つ。

朱里の体力が回復し切る前に、止めを刺さなければ。

ふらつきながらも近付く俺に、朱里は逃げる様子も見せず、身体を起こして鉄格子に寄りかかると、

「はー、はー、はー……もっかい、いいますね……」

青ざめた顔で、涎も拭わずに。



ただ、早く言わなければならないというように――――



必死に、俺を安心させるように、笑顔を作って――――





「わたしたちが、いっしょになったら――――わたしたちは、生きられ、ますか?」




その言葉は、




俺の足を止めるのと、




俺の中に疼いた喪失感を拭うのには、十分すぎる重さがあった。





     ◆  ◆  ◆




「お前…………なに、考えて……」

「今、死なないことだけを考えたら…………それかなっ、て、思って……ごほっ……でも」

片目を閉じて、未だ上下する肩を隠そうともせず、朱里は自分の思考を口にしていく。

「殺されるのは、勿論嫌で……忘れるのも、同じぐらい……ごほっ、ごほっ、嫌、です。どっちも、わたしにとっては死ぬのと、変わらないし…………だけど、一刀さまは、さっき」

開いている虚ろな目を、どうにか俺に向ける。

「さっき――――分かっても、死んじゃうって……言いましたよね」

首を絞めている時、か。

「だから?」

「じゃあ…………わたしが、何を選んでも最後には死んじゃうなら……一刀さまだって、そうなんじゃないんですか?」

「…………何故、そう思った?」

「そんな言い方でしたもん……」

理由になっていない。

「それに……どの道、二つはわたしの中であり得なくて……今だけでも生き残るなら、わたしは一刀さまに従わなきゃいけない……」

「とても従っているという態度じゃないが」

「だから、もっかい、聞きます……っ」

鉄格子に掴まって。

がくがくの足を必死に床に突き立てて、立ち上がって。



「わたしが、一刀さまと一緒に行ったら……わたし達、生きれますか?」



あくまでも、純粋に。



「生き残れ、ますか? わたしだけ、じゃない。一刀さまだけ、じゃない。わたし達が」



生きたいという願いを込めて、その問いをぶつけてくる。



「…………それは」



俺が、口にする前に。



「少なくとも……一刀さまは、死んじゃうんですよね……」

朱里が、答えを出していたかの如く。

「わたしが桃香さまのところで生きていると、自分が処断されても良いぐらい都合が悪い。わたしが忘れて、周りがわたしのようになるのも、一刀さまにとってはわたしを殺したくなるぐらい都合が悪い。それって……どんな形にせよ、わたしが蜀に残ったら…………一刀さま、死んじゃいますよね」

ちりちりと。

無くなったはずの喪失感が、俺の中で蠢きだすが。

「だけど、わたしが一刀さまについて行ったとしても……一刀さまは、死んじゃう……の? なんで?」

そこが分からない、と首をかしげる。

と同時に、足から崩れ落ちて、ごほごほと口を押さえて胃液を吐く。

「おぇっ……ご、ごめ、なさ……我慢、してたん、ですっ、けど……」

四つんばいになりながら、俺にそんな無様な姿を見下ろされながら。

それでも、朱里は思考を止めようとしない。

「未来って、理由……だけじゃ、ない。じゃあ、なんだろ……? 仙術、関係あるんです、よね? ……はぁ、はぁ……えっと、それじゃ……?  劣化加速の法は……うぅん、これは直接的な意味はないはず……でも、仙という文字がつくと……わたしと一刀さまの不調の共通点は、そこだから…………んっと……」

諦めない姿勢だろうか。

それとも、俺が目の前に居るのに、自分の思考に没頭していることだろうか。




何故だろう。




俺は。




無性に。





無性に。





――――ムカついた。





俺は沸騰した感情のまま、朱里の肩を掴んで起き上がらせると、今度は胸倉を掴んで鉄格子に押し付ける。

「づっ!? いった……!」

「これから死ぬっていうのに、意味がないことばかり……!」

「どう、じてっ……!? なにか、方法、あるはずです!」

「今から自分を殺す相手の心配か! ほとほと善人だよ、お前らは!!」

俺の言葉に、一度驚きを見せるも。


朱里は慌てて、首を横に振る。



「ちっが……ちが、う……!」

「何が違う! それにだ。さっきのように、時間を掛けたのが間違いだったな!」

両目でも潰して血を流させれば、もうそれで終わりだ。仮に奇跡的に生き残っても、朱里はもう諸葛孔明としての役割は果たせないだろう。

俺は左手を開いて上にあげて――――、



「どんな、形でも! 死んじゃったら、ダメなんですよぉッ!!」



悲痛な絶叫が。



牢屋内に響き渡って。



「一刀さまが死んじゃったら、桃香さまはどうなるんですか!? 桃香さまが一刀さまを救えなかったら、死んじゃったら、桃香さまは本当の意味で、絶望しちゃう……!」


「人なんてたくさん死んでいるのに、死なせているくせに、よく言う!!」


「桃香さまの目の前で、桃香さまの命を守ったのは、血を流しても生きて、その上で桃香さまの想いを汲んでくれたのは一刀さまだけなんですよ!! それが分かってて、なんて言い方……!!」


「勝手な感情を押し付けるな! お前らはいつもそうだ!!」


「先に押し付けたのは一刀さまじゃないですかッ!! それが本当に必死だったから、心地良かったから!! だからわたし達は助けたいって思う! 一緒に居たいって、救いたいって、死んでほしくないって想うんじゃないですか!!」


「ぐっ……朱里、お前……ッ!!」


「そうなるように、そう想うように一刀さまが仕向けたんでしょう!? だったら、最後までわたし達がそう想ってて何が悪いんですか! ただ生きていてほしいって想うことの、それの何が我侭なんですか!!」


「何も知らないで…………ッ!!」


「知りませんよ! 危ないから離れててって、子供みたいにあしらって!! どうすればそれが分かるんですか!? 一刀さまと一緒に行けば、一刀さまを主君と仰げば分かることなんですか!?」


「だったらどうだって言うんだ!?」




「それが……それが必要なら! わたしは、わたしは、一刀さまと歩む覚悟があります!!」




「なっ――――」


「蜀を捨てても、桃香さまを裏切ることになっても…………! わたしは、わたし達が生き残るのにそれが必要なら、桃香さまを本当の意味で生かすためなら、一刀さまの手を、必死に握りますッ!! 絶対に離しません! 裏切ったりも、離れたりもしません!! だから……だから、わたしを……一刀さまを、見捨てないで…………っ」


嗚咽のように、小さくなる言葉は。


あの関羽ですら躊躇った、蜀との――――桃香との、決別宣言。



俺は、力を抜いて。


朱里が、咳き込みながら、再び床にへたり込む。



気付いたら、部屋に充満していた喪失感は霧散していた。俺に殺意がなくなったことを、悟ったのかもしれない。



「……どうして、そこまで言える」

俺は朱里を直視出来ず、目を逸らしながら問いかける。

「はぁ、はぁ、はぁ…………だって……」

「…………」

「だって…………なんで、でしょうね……。そりゃ、桃香さまのためですけど…………わたしだって……わたしの気持ちだって、あるんです。だから……」

「…………もういい」

俺は朱里から距離を取って、一番奥の壁に寄りかかって座る。

「……あ、あの……一刀、さま?」

胸を押さえて、呼吸を整えながら、赤い顔で俺を呼ぶ。

「……あれだけ騒いだのに、衛兵が来ないな」

「あ……えと、言い合いになると思ったから、夜明けまで暇を出して…………」

「…………なるほど」

つまり、今の言い合いが聞かれている可能性もないってことか。よく考えている。



それなら…………気にしなくてもいいか。



「あの、かず――」

「話してやるよ」

遮って、言う。

「えっ?」

「お前の知りたいことを、全て教えてやる。だが…………聞く以上、途中退場はなしだ。もし俺を裏切る姿勢を僅かでも見せた場合、俺は問答無用でお前を殺す」

「あ…………」

朱里の顔が、苦しみから一転。パッと、華やいで。

「それじゃ……!」

「……なんで嬉しそうなんだかな」

「んと、なんでしょう。色んな感情がごちゃ混ぜになって、よく分かんないですけど…………でも、あれかな」

にこっと、笑って。

「優越感が……強い、かも、です」

恥ずかしそうに、手をもじもじさせて言う。

「ど、どう取ってもらっても、構いませんけど?」

「今から主君を裏切ろうって奴の顔には見えないな」

煽ったつもりだが、それでも朱里は表情を崩さず、

「例え蜀のみんなに理解されなくても、桃香さまに涙を流されても、罵詈雑言を浴びせられても……わたしの中で目的がはっきりしているのなら、耐えられますから」



俺を救うという――――目的。



それを成して……桃香という存在理由を確固たる物にするという、朱里の信念。

揺るぎないな……立派で。これぞ、古で名を残した武将ってことなのかな……。

「あ、あの、それでっ……?」

「…………」

俺は朱里の顔を見て。

ちょっと、手招きする。

「?」

猫のように四つんばいのまま歩いてきて。

手が届く距離にまで来たら、さっき吐き出して汚れた口元を、袖で拭ってやった。

「あ、んぅ……き、汚いですよ」

「二度目だ」

俺は朱里の言葉は気にせず、まず大前提を口にする。

「えっ?」

そっと俺の手に自分の手を添えて、握ったまま手を下ろしたところで、朱里の動きが止まる。

「だから、二度目だよ。俺がこの世界を体験するのは」

「…………二度、目?」

一瞬、何を言われているのか分からない――って、顔をしたが。



少しずつ



少しずつ、朱里の顔が驚愕と



何より、大きな絶望のような



「俺は一度……三国が統一された時に、死んだんだよ」




極大な俺という闇を、朱里はその瞳に映した。





続く

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